東京大学大学院 新領域創成科学研究科
盲導犬歩行学研究室(ワタナベ研)
スタッフ
・特任教授 渡邊 学
<略歴>
宮崎県宮崎市(旧高岡町)出身・宮崎県立宮崎西高等学校卒業
1997年 3 月 宮崎大学農学部獣医学科卒業
2001年 3 月 山口大学大学院連合獣医学研究科修了博士(獣医学)
2001年 4 月 日本学術振興会特別研究員PD
2004年 4 月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 学術研究支援員
2005年 11月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 助手
2007年 4 月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 助教
2014年 7 月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
2015年 4 月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授(配置転換)
2019年 8 月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任教授(盲導犬歩行学分野)
現在に至る。
<研究・教育・社会活動>
医学・分子生物学に関する研究:
・抗腫瘍・分化誘導剤フェニル酢酸の分子抗癌効果の解明および標的分子への創薬開発 (1995年~)
・乳腺の発育・成熟・ホルモン周期に伴うトランスクリプトーム・オルガノミクス解析 (2001年~)
・完全長cDNAシークエンスデータを用いた新規乳がん関連遺伝子群の発現・機能解析 (2008年~)
動物学・獣医学に関する研究:
・伴侶動物のがん疾患へのマルチオミックス解析 (2005年~)
・伴侶動物のがん疾患への網羅的抗がん剤感受性解析および臨床治験へのトランスレーショナルリサーチ(2006年~)
・次世代型シークエンサーを用いた伴侶動物の気質体質・遺伝病・がんのゲノム解析 (2010年~)
盲導犬・視覚障害者に関する研究:
・盲導犬に適するゲノム多型探索による盲導犬育成率上昇への貢献 (2013年~)
・盲導犬に多発する疾患のゲノム多型探索による健康な盲導犬の育成 (2013年~)
・コロナ禍における盲導犬ユーザーの意識調査 (2020年~)
[文献]
(1) Saeki K., et al., Vet J. 2015 pii: S1090-0233:00167-7.
(2) Tomiyasu H., et al., Leuk Lymphoma. 2013 54:1309-15.
(3) Takeuchi Y., et al., J Vet Pharmacol Ther. 2012 35:97-104.
(4) Watanabe, M., et al. Breast Cancer Res. Treat. 2009 118: 281-291.
(5) 渡邊 学 イヌゲノム研究の現状と課題と展望 動物遺伝育種研究 2016, 44:69-85.
[その他]
日本獣医学会(評議委員)、日本動物遺伝育種学会(理事)、日本農学会(常任委員:庶務担当)
日本癌学会、日本ペット栄養学会
<研究概要>
これまでに、医学領域でのがんの分子病態解析、抗がん剤の効果測定および創薬探索・開発、獣医学領域での伴侶動物のゲノム研究における解析プラットフォームの構築・確立を行っていきました。これらの研究より得られた各階層の大規模データを元にしたゲノム学・生命科学・医学・動物学・獣医学・情報学等の学問領域横断型・縦断型融合に基づく比較マルチトランスレーショナルリサーチシステムの構築を行い、生命現象・形質・疾患の原因解明および分子生態・博物学・診断法・治療法への応用・探索・開発を進めています。
盲導犬歩行学の設立に伴い、盲導犬および視覚障害者の山積した課題に対して研究の力で解決克服することを目的とし、視覚障害をもつ方々がより善い暮らしをおくることに貢献することを目指しています。
<メッセージ>
ある先生から伺った御言葉ですが、“研究と研究者は、千里の馬と伯楽の関係に似ていて、現象の真理は常にそこに存在するが、これらを正しく見出すことは、一朝一夕にはならず、日々の探究心、ひたむきな努力、ぶれない志が大切であり、例えれば夢十夜に登場した運慶の所作がその極みである。しかしながら、名馬を見出す伯楽とは異なり、研究者は正しく見つけ出した真理に基づいて新しく創成することも必要になる。新しい素材や方法で道や橋や機械を作ったり、病気の診断や薬を見つけたり、IT技術等で世界から宇宙が繋がる情報インフラを作成したりと、その知の応用は無限であり、それが世界中の暮らしの幸せにつながることが善いと考えられる。ただし伯楽にも研究者にも共通することは、試行錯誤しつつ沢山失敗をしながらも、常に自分で学び考え続けることにより自身の思考力を鍛え、正しく判断できるようになることが求められる。君もこれから溢れかえる情報の渦に巻き込まれていくが、すべて呑み込みながらも正しい物事をきちんと選別できるセンスとバランスを大切にしていくといいよ。”とのことでした。
随分昔に伺ったわりには自分自身で未だにできていないのですが、若い時分に胸に響く言葉でしたのでメッセージとしました。少しでもこのように近づければ善いなと考えています。