東京大学大学院 新領域創成科学研究科
盲導犬歩行学研究室(ワタナベ研)
啓発活動の紹介
・新領域創成科学研究科20周年記念関連シンポジウム
「盲導犬の新領域、盲導犬と新領域」
”アイデアの融合がきこえる、ぼくらのこころに響く”
本シンポジウムでは、三谷啓志研究科長の開会のあいさつが行われました。協会側のニーズとして多和田理事より盲導犬と視覚障害者についての説明、これまでの協会のあゆみ、多和田理事が携わった研究開発および今後開発したい機器についての講演がありました。次に、協会の松浪芳郎理事より盲導犬歩行学に関する説明があり、盲導犬の繁殖・育成、盲導犬ユーザーの歩行時のデバイス、ユーザー歩行時の社会環境に関する課題について講演されました。これらの協会のニーズをうけて、新領域側のシーズとして、環境系・稗方和夫准教授より、システムズアプローチを用いた協会の問題点のうち、盲導犬というサービスを提供する協会とそれを受けるユーザーの2者間の関係に着目した結果、盲導犬ユーザーをとりまく社会環境の向上により、よりよい歩行を行うことができると結論づけられました。次に、基盤系・篠田裕之教授より、触覚デバイスを用いて盲導犬ユーザーに歩行補助デバイスを開発する、また歩行補助者と視覚障害者の触覚が同期するウエアブルデバイスを装着することで歩行補助ができるなどのアイデアが紹介されました。そして、環境系・大島義人教授より、大学への進学にあたり、障害者の理系への進学が低いことのデータを統計的に示され、これらを改善するための実験室のありかた、特にさまざまな器具等の位置固定の提案と、さらに視覚障害者の心理的側面からの安全性の認識について講演されました。パネルディスカッションでは、生命系・渡邊学准教授、協会の松浪理事がファシリテーターとして、上記の先生方に加えて、吉川明協会理事、視覚障害者である東北大・理学部職員、澤口亜由美氏をパネラーとして、以下の3つの議題に関してのパネルディスカッションが行われました。最後に吉川理事より閉会のあいさつをいただきました。参加者総数も80名程度で、事後のアンケートでもほとんどの参加者より好評価をいただきました(所属・肩書き等は当時)。
(2018.9.7 東京大学 柏図書館メディアホール)
・日本盲導犬協会視察交流ツアー
日本盲導犬協会・多和田 悟 理事、訓練部、訓練士学校学生により盲導犬訓練の実施説明、および館内視察を行いました。その後、意見交流会を開催し盲導犬歩行学研究室の目的や訓練育成技術支援等に繋がる研究テーマやアイデア、課題等についての活発な意見交換ができました。盲導犬。視覚障害者のニーズと大学のシーズによる課題の解決について議論が深めることができました。
(2019.10.24 日本盲導犬協会 神奈川訓練センター)
・盲導犬歩行学分野キックオフシンポジウム開催
「令和元年、盲導犬歩行学元年」
“研究が、ぼくらの未来を希望にかえる”
本シンポジウムでは、井上幸彦 日本盲導犬協会理事長、大崎 博之 新領域創成科学研究科長に御挨拶を、長谷川寿一大学改革支援・学位授与機構参与理事に御祝辞をいただきました。多和田 悟 理事の基調講演のあとに、渡邊 学 新領域特任教授(獣医・ゲノム)堀 正敏 農学部獣医学専攻長・副研究科長(獣医学・獣医医療)、武内 ゆかり 農学部応用動物専攻長(動物行動学)牧野 泰才 新領域准教授(デバイス工学)、不二門 尚 大阪大学特任教授(眼科医療)、小田 浩一 東京女子大学教授(ロービジョン・人文科学)に講演頂きました。さらに、”研究が、ぼくらの未来を希望にかえる”というタイトルでパネルディスカッションを行いました。盲導犬ユーザー25ユニットをふくむ約250人の参加により盛況にて終了しました。シンポジウムの開催により東京大学をはじめとした学内外の大学研究機関との連携の強化を図ることができ、盲導犬を「科学」するという盲導犬歩行学分野の学術的立ち位置を東京大学の学生や一般の参加者に広めることが出来ました (所属・肩書き等は当時)。
(2019.12.14 東京大学 伊藤国際研究センター謝恩ホール)